眞秀ら観照録:量子論とフグの糠漬け、あるいは「正しさ」という名の猛毒

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世間では「科学的であること」や
「正しく理屈が通っていること」こそが、
最も信頼に足る真実だと言われています。


しかし、本当にそうでしょうか。


先日、テレビの番組で
興味深い量子論のトピックを目にしました。


かつてアインシュタインが
「不気味な遠隔作用」と呼び、
その存在を生涯否定しようとした
「量子もつれ」。


アインシュタインの正しさを証明しようと、
あるいはその矛盾を突こうと
真面目に研究を重ねた科学者たちは、
皮肉にも
「アインシュタインが間違っており、
量子もつれは確実に実在する」という
真理に直面してしまったのです。


そして、その超最先端の量子コンピュータや
量子力学の根底にある感覚を紐解いていくと、
驚くべきことに、私たちが普段
「なんとなくこれ、いいよね」
「直感で可愛いから好き」と
軽やかに笑うギャルたちのノリや感覚に
非常に近いというのです。


ガチガチの理屈をこねくり回して
世界を縛り付けようとする学者よりも、
「なんかコレ、良くない?」と
直感の波形をそのまま受け取る感性のほうが、
実は宇宙の真理(量子論的な重ね合わせ)を
正確に観測していると。


ここに、ひとつの大きな逆説があります。


私たちが「非科学的だ」と
切り捨てるものの中にこそ、
最も深い科学が潜んでいるのかもしれません。



この逆説を思い浮かべたとき、
ふと、石川県などの日本海側に伝わる
「フグの卵巣の糠漬け」のことが
頭をかすめました。


フグの卵巣には、
人間を死に至らしめるほどの猛毒
テトロドトキシンが含まれています。


しかし、それを塩漬けにし、
さらに米ぬかに漬けて
足掛け3年もの歳月をかけて発酵させると、
なぜか不思議ことに毒が消え、
至高の珍味へと生まれ変わります。


現代の最先端科学や
分析技術をもってしても、
微生物のどのような複合作用が
この奇跡を起こしているのか、
その完全なメカニズムは
未だに解明されていないそうです。


科学的に「なぜ安全なのか」が
証明されるはるか昔から、
先人たちは命懸けの経験と「気の観察」、
そして途方もない
「時間の造園」を通じて、
この神秘的な処方を守り抜いてきました。


理屈で解明できないからといって
「危ないから排除しよう」
「すべてを可視化して管理しよう」とする
現代の効率主義では、
決して辿り着けない領域があります。


先人たちは、目に見えない
無数の菌や時間の循環という
「場(しじま)」を信じ、毒を否定せずに
そっと糠床の静けさの中へ沈めた。


そして3年という行間の時間を待つことで、
猛毒を命を支える恵みへと
裏返してみせたのです。



私たちの心や場においても、
同じことが言えるのではないでしょうか。


私たちが抱える内なる影や葛藤、
世間から見れば「役に立たない」とされる
不器用さや歪み。


それらを無理に排除したり、
正論でねじ伏せようとすると、
かえって心は毒に侵されてしまいます。


しかし、それを焦って解決しようとせず、
忘却の美学や静寂の庵の中で
じっくりと寝かせ、
時間を味方につけて発酵させていく。


そのとき、
かつて自分を苦しめていたはずの「毒」は、
人生を味わい深く彩る
「深い旨味(徳)」へと昇華されていくのです。



ガチガチの正解を握りしめて
息を詰まらせる生き方よりも、
「なんか、このままでいいよね」と
直感の波に身を委ね、
見えない自然の理(ことわり)に
すべてを預けてみる。


証明できないからこそ美しい。


解明できないからこそ、
そこに圧倒的な生命の循環が宿っている。


そんな先人たちの知恵と
最先端の量子論が重なり合う場所で、
今日も静かに、私たちの時間は
豊かに発酵し続けているのでしょう。


 




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